マルタ留学について調べながら、私たちはもっと安く家族留学ができる国を探し始めました。
検索すると、よく出てくるのがセブ島やフィリピンへの留学です。
さらに、マレーシアやオーストラリアも候補に加わりました。
スウェーデンからマルタへ。
マルタからフィリピン、マレーシア、オーストラリアへ。
私たちの検索履歴だけを見れば、すでに世界一周していました。
妻の友人が親子留学を始めた
そんな中、妻の友人が母親と子ども2人で親子留学を始めました。
子どもたちは現地のインターナショナルスクールへ通っています。
身近な人が本当に親子留学を始めた。
これは妻にとって、かなり大きな出来事でした。
「やっぱり、できるんだ」
妻の中に残っていた留学の火へ、大量のガソリンが注がれました。
もう、この火が自然に消えることはありません。
マレーシアなら安く暮らせる?
次に候補となったのが、マレーシアです。
マレーシアなら日本より物価が安そう。
日本からも比較的近い。
日系企業も多いので、もしかすると現地で働けるかもしれない。
妻の医師免許が使える可能性はあるのか。
日本の資格を生かして働ける国は、どこなのか。
子ども3人をインターナショナルスクールへ通わせたら、学費はいくらになるのか。
毎日、そんなことばかり調べていました。
気づけば私のスマホは、留学、ビザ、海外就職、インターナショナルスクールの情報だらけです。
おすすめ記事まで、すべて海外移住関係になっていました。
スマホも完全に、私たちが留学すると信じ始めています。
オーストラリアは物価が高すぎるらしい
一方、妻の知人からはオーストラリアについての情報が入りました。
「オーストラリアは物価がものすごく高い」
何をするにも、とにかくお金がかかるらしい。
夫婦2人だけなら、なんとかなるかもしれません。
しかし、うちは子どもが3人。
しかも、両親も一緒に行く予定です。
合計5人。
飛行機代も5人分。
家賃は家族向け。
食費も5人分。
学校へ通えば学費もかかる。
家族5人でオーストラリアへ行けば、貯金が勢いよく減っていく未来が見えます。
カンガルーを見る前に、銀行口座が跳ねて逃げていきそうです。
親子留学は「母と子ども」がほとんど
親子留学について調べていると、あるパターンに気づきました。
留学するのは、母親と子ども。
父親は日本に残って働き、海外で暮らす家族へ生活費を送る。
私が見つけた体験談は、ほとんどがこの形でした。
なるほど。
父親が日本で稼ぎ続ければ、海外での生活費を支えられます。
現実的な方法です。
では、うちもそうなるのか?
妻と子ども3人が留学。
私は日本に残って仕事。
夜、一人で静かな家に帰る。
子どもたちの声は聞こえない。
食事も一人。
想像してみました。
……寂しい。
「俺が子どもたちを連れて行けばいいんじゃない?」
そこで私は、画期的な案を思いつきました。
「あっ!俺が子ども3人を連れて留学すればいいんじゃない?」
「お母さんは日本に残って働けばいい」
妻は医師として働き続ける。
私は子どもたちと海外で生活する。
これなら、日本での収入も確保できます。
完璧な作戦に思えました。
しかし、妻からすぐに返事がありました。
「えっ?私が留学したいのに、なんで私が日本に残るの?」
ごもっともです。
もともと留学したかったのは妻です。
妻の夢を実現するための計画なのに、気づけば妻だけ日本に置いていく作戦になっていました。
危うく、主役のいない留学が始まるところでした。
気づけば私も留学に取りつかれていた
この提案をした頃には、私も完全に留学へ取りつかれていたのだと思います。
最初は妻の夢でした。
私は話を聞きながら、
「本当に行けるのかな?」
「お金は大丈夫かな?」
と心配していただけです。
それなのに、いつの間にか自分から留学先を探し、子どもたちを連れて行く方法まで考えています。
妻の留学の呪いは、完全に私へ感染していました。
まずフィリピン、そのあとオーストラリア?
次に考えたのが、まずフィリピンへ短期留学する案です。
フィリピンで英語を勉強する。
少し英語に慣れてから、オーストラリアへ移動する。
オーストラリアでは、貯金が続く限り生活する。
働けないなら仕方ありません。
貯金で生活するしかない。
ついに私たちの話し合いは、
「どの国なら働けるか」
から、
「貯金がなくなるまで、どのくらい海外にいられるか」
へ変わっていました。
計画というより、少しずつ覚悟の話になっています。
妻の独身時代の貯金を使おう
海外で働けないなら、生活資金が必要です。
そこで私の頭に浮かんだのが、妻が結婚前から大切に貯めていたお金でした。
いわゆる、妻のへそくりです。
「その貯金を使えば、しばらく海外で生活できるのでは?」
自分のお金ではないのに、堂々と使う計算を始める私。
今考えると、なかなか恐ろしい夫です。
しかし、その貯金を使うのであれば、当然、妻を日本へ置いていくわけにはいきません。
お金だけ海外へ連れて行き、持ち主を日本に残す。
そんなことをすれば、留学から帰る家がなくなります。
俺だけ日本に残る?
では、妻と子ども3人が留学し、私だけ日本に残るのか。
これなら妻の夢はかないます。
子どもたちも海外で生活できます。
私は日本で働き、生活費を送る。
親子留学としては、よくある形です。
でも――。
やっぱり寂しい。
家族が海外で新しい経験をしている間、私は日本で一人。
ビデオ通話で、
「今日は学校でこんなことがあったよ」
「新しい友達ができたよ」
と聞くだけ。
それは嫌でした。
私も一緒に行きたい。
気づけば、留学は妻だけの夢ではなくなっていました。
英語が話せない私が子ども3人を連れて行くのも無理
かといって、私だけで子ども3人を海外へ連れて行くのも現実的ではありません。
私は英語が話せません。
空港でトラブルが起きたらどうするのか。
家を借りるときは?
学校の先生との話し合いは?
子どもが病気になったら?
英語のできない父親と子ども3人。
想像しただけで、空港から出られる気がしません。
やはり妻を置いていくことはできません。
私が日本に残るのも嫌です。
子どもだけを置いていくわけにもいきません。
何度考えても、答えは一つでした。
私たちは家族5人で留学します
誰か一人が日本に残れば、費用は抑えられるかもしれません。
しかし、それでは私たちがやりたい留学とは違います。
妻だけでもない。
子どもたちだけでもない。
私だけが残るのでもない。
家族みんなで海外へ行き、家族みんなで生活する。
うまくいくことも、失敗することも、全員で経験する。
この頃、ようやく私たちの留学の形が決まりました。
私たちは、家族5人で留学します。
問題は、家族5人で暮らせて、子どもたちが学校へ通えて、できるだけ費用を抑えられる国がどこなのか。
フィリピンか。
マレーシアか。
オーストラリアか。
それとも、まだ候補に出ていない別の国なのか。
私たちの留学先探しは、まだ続きます。
続く。


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